第108回 キャリアの評価基準とは

こんにちは、楳林です。さすがに朝晩が寒くなりましたが、3連休をどのように過ごしましたか。私は3日間のビジョン心理学ビジネスセミナーにスタッフで参加し、日ごろの仕事のやり方を振り返っていました。先週のエクササイズは「あなたが思う“幸せなキャリア”って何ですか」でしたね。何通か紹介します。

「自分の仕事により、感謝されることです。ある技術を持ち、それを仕事に生かして人に喜ばれることだと思います。私の場合は「出来て当たり前」と言われます。もちろんプロとして仕事をしているのですから当然なのですが、ユーザーから思いがけず、感謝の言葉などを掛けられると嬉しくなります。この技術や技能を身に付けて(または経験して)おいてよかったと思える時です」(Sさん、36歳)。

「私が思うキャリアは、やはり感動があることです。楽しく、そして自分が役に立っているなと感じられることです」(Mさん)。

お二人とも「自分が役に立っている」「感謝されている」という自分の内的なものがキャリアでの幸せを大切な要素になっているようですね。

でも何がその人をして幸せって感じさせるのかは、簡単ではないですね。人によってずいぶん違うでしょうし、何より、「自分にとって幸せって何?」と考え始めたら、すっと出てこないかもしれません。今回は回答が少なかったですが、せめて「自分にとっての幸せとは?」って考えるきっかけぐらいにはなって欲しいなと思いました。

ところで「幸せのキャリア」については高橋俊介・慶応大学教授が「キャリア論」という著書で触れていますので、簡単に紹介したいと思います。高橋さんの論はキャリアをどのように評価するかという視点から、幸せのキャリアを引き出しているのが特徴です。

キャリアの評価基準は大きく、外的基準と内的基準があります。外的基準というのは、例えば社内出世度とか報酬、社外通用度といった自分の外にある客観的な物差しを言います。現在の世の中では主流かもしれませんね。それに対し内的基準というのは、自分の中にある物差しで、自分の価値観や内なる動機、専門性や特定のスキル、過去の経験といった自分の保有能力、それと興味の4つを重視しています。

2つの基準の違いはどこにあるのか。高橋さんは外的評価基準がキャリアの勝ち負けが問われるのに対し、内的基準は一人一人がそれぞれ個別に持つもの。だから、競争とは異なり、「幸せなキャリアか不幸なキャリアか」の違いになると語っています。別の表現で言えば「自分の満足度」あるいは「自分らしいキャリアの実現」ということになるそうです。

また成果主義のプレッシャーや社内でのポスト不足などを背景に、自分らしいキャリア、つまり自律的キャリア形成を目指す中高年や若手が増えてきています。これも自分の内的基準を大切にしようという動きと言えそうですね。

動機や価値観のタイプによっては、外的基準での勝つキャリアを目指すことが内的基準ともマッチングすることもあるそうです。基本的には“幸せのキャリア”は従来の主流の“勝ち負け”とは対極的にある考え方といってよいでしょう。将来的には「内的基準を重視した自律的キャリアしかありえない」と高橋さんは語っています。

私自身は内的基準をさらに徹底して、その人が自分のビジョンとかミッション(使命)を見い出していった時に独自の資質や能力をも見い出す契機ともなり、それが“幸せなキャリア”になるのではと思っています。とはいえ、キャリアデザインの企業研修をやるたびに、まだまだそれはストレートには出てこないことを痛感しています。

しかし、ビジョン心理学ではその人の問題の背後にこそビジョンと才能が潜んでいるとして、いろんなワークを通じて見い出していこうとしています。コーチングや他の心理学でもビジョンの大切さが認識されつつあります。意外に早く、ビジョンに焦点を合わせる時代がくるような気がします。

ということで今週のエクササイズは、またちょっとした挑戦です。

●あなたのビジョンを止めているものは何ですか?