第125回 素晴らしき普通の人たち

こんにちは、楳林です。やっと暖かくなってきました。つぼみでじっと待機していた家のそばの3本の桜の花も一斉に開き始めました。久しぶりにウオーキングで汗をかきました。3月も最後の週になり、新しい年度に向けてちょっと意欲的になっています。

ところでコーチングをしていて一番ワクワクするのは、クライアントの方をコーチングしているうちに、ある時、突然、その人の本質というか、何か中核に触れる時です。

先日も主婦のMさん(40歳)とその週の小さな出来事をきっかけにプロセスを進めていくうち、深い洞穴のイメージの中で、1つの小石を見つけた途端、「アーあった!」。それはまるでずっと探していたものを見つけたような感じ、もっと言うと自分という存在が「あったんだー!」という感じに近いものでした。

例えば青い鳥を探して世界を旅してまわり、くたびれ果てて我が家に戻ったら、なんと自分の家にいたじゃない!「いたんだー!」。もっと言うと生まれた時に戻ったような。「ただいま!」「お帰り!」そんな感じなのです。

そういう体験に立ち会うこともワクワクすることですが、その後の変化、成長の早さにはいつも驚かされてしまいます。気づきがとても早くなり、自分の資質、発揮したい能力、さらに人生の目的やミッションがより明確になっていくのです。

コーチングだけでなく、これまで体験したビジョン心理学などでもそういう場面に出会うことが少なくありません。その度に思うことは「普通の誰もが自分の本質を持っているんだ。それに気づくとどんな人も輝き始めるんだ」ということです。

こんな言い方もあるかもしれません。何か捜し求める「Doingとしての自分」から、ただ「存在(Being)としての自分」に変わっていく。その時、コーチングでよく言う「答えも解決法もその人の中にある」ということが真実なんだなと思えるのです。

今回、こんなテーマを取り上げたのは、先週、ある報告書を読んでいて、改めて「そうなんだ!」という思いがしたからなんです。以前紹介したことのあるシステムシンキング(全体像を捉え、その中から根本的な課題を把握し、効果的な解決法を見つけ出す)に関係する米国の会議報告の中にあった、「素晴らしき普通の人々」(Brilliantly Ordinary)という言葉が、私のこれまでの体験ととても重なることが多かったのです。

「素晴らしき普通の人々」についてこんな説明がなされていました。近年のリーダーシップでは、その人が行う行動(Doinng)でなく、その人自身の存在(Being)で捉える傾向にある、と。それはどういう事かというと、「変革を起こしたり、あるいは何かの偉業を成し遂げることができる」のは、「特別な人」だと思われがちだが、実際はそうでないという事です。

逆にこの時代は、「特別素晴らしい何かを持っているわけではない、普通の人々が、素晴らしいことを成し遂げる」時代であると語っていることにとても共感を感じたのです。

「その素晴らしいこと」というのは、自分の本質というか存在に触れることから始まるような気がします。

今、20代、30代で「やりたいことが見つからない」「好きなことがわからない」というのは、ある意味でまともだと思います。今まで、自分自身の存在なんていう捉え方が社会では一般的ではなかったからです。

それが証拠に40代、50代の方の研修で「本当にやりたいことは何か」に答えられる人は非常に少ないし、そういう問いかけを自分にすることすら忘れている人が多いのです。それよりも「本当にやりたいこと」を探しているうちに自分の存在に触れたり感じた、普通の人から自分を変革していくような気がします。

ということで今週のエクササイズはちょっと自分に聞いてみてください。

●「あなた自身を象徴するもの、それは何ですか?」