第36回 温故知新とビジョンについて
こんにちは、楳林です。ブラジルの優勝で幕を閉じたサッカー。噴き出す民族のパッションや組織力と個人技の溶け合う模様が私には印象深かったですが、あなたはどうでしたか?さて、先週のエクササイズは「あなたの本当の価値は何ですか」でしたね。先ず1通紹介させていただきます。
「私の価値は日々の『普通の幸せ』を素直に受けとめ、自分磨きを忘れないこと。そういう意識でいられること」(Sさん、27歳、介護ヘルパー)。Sさんは結婚を機に家事との両立を図りながら、体に障害を持ちながらも自立生活をしている人をヘルプする現職に転職されたそうですが、同時にその人達を通して、学ばれておられますね!
何かを達成したら幸せになるのではなく、「あるがままの生活」や「夫婦が仲良く長生きする」という今を大切にし、充実感を感じることが好循環を引き寄せるのだと思います。
「協調性」(Mさん、40歳)「宮沢賢治のように個人の幸福より人類の幸福を願う」(Kさん、43歳)「患者の希望する医療が行える」(Mさん、26歳)
・・・・「これが価値かな?」なんて疑わずに、自分の直感を信頼し、出てきたメッセージのさらに深い意味を探っていってみてください。それが直感のパイプを太くしていきます。
さて、もう1人の回答を紹介させていただきます。「私の価値は、“温故知新“を実践できる、20代としては貴重な人材です」(Nさん、27歳)。温故知新というのは昔の事をたずね求め、そこから新しい見解・知識を得ることです。
Nさんは自分の中に「大学で国文を専攻し、保守的で真面目過ぎる」面と、「ミーハ-でアイデア好き、時代の先端技術にも興味がある」面という、まるで新旧2つの相反する性質があることをしっかり掴んだ上で、それを対立させるのではなく、「古いものを顧みて尊び、新しい時代に生かしていける」資質があることを感じておられます。
何故これを取り上げさせていただいたかというと、先週末、私がトレーナーとして参加した企業研修の中で私も同じような思いを体験したからです。
それはある創業以来75年の中堅企業の新任の課長さん(40歳前後)を対象に、私としては初めてマネジメントとキャリアデザインをミックスさせた研修でしたが、40代の社長さんの下で管理職の方はとても伸び伸びした感じがしていました。
ところがマネジメントの面では改善のレベルに留まっており、改革に必要なビジョン構築力や、キャリアの視点が全くといっていいほど欠落していました。その上、研修のある場面で「私の会社は自由な空気がある半面、老害がひどくて・・・」というある管理者の発言が気になり、私は思わず言ってしまいました。
「単なる未来思考ではビジョンを見つけることはできません。例えば、個人のビジョンなら、自分の小さな時、つまり昔の自分を振り返り、そこから受け取ることが大切なように、企業のビジョンも古い企業風土や古い人を単純に切り捨てることはできません。古いなりに“大切にしている思いや価値観"を理解しないと本当の意味でビジョン、つまりありたい姿、志というものは見えてきませんよ」と。
それで、Nさんの“温故知新”という回答を読みながら、「そう、それがビジョン思考なのだ」という気がしたわけです。企業や両親に依存するのではなく、自らの足で立つ自立の姿勢は、キャリアの面で絶対に必要ですが、同時に古い部分を投げ捨てるのではなく、統合していくことからビジョンのより深い部分が見えてくると思います。
ということで、今週のエクササイズです。先週と同じように(Nさんの中で新しいものと古いものが対立しながらも統合したように)直感を鍛えながら回答してください。
●「あなたの心の中や職場において、相対立しているものを統合した時、現れてくるものは何ですか?」
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