第39回 アクションラーニング

こんにちは、楳林です。先週のエクササイズは「今あなたの周りで起きている問題は、あなたにどんなキャリア上のチャンスを与えようとしていますか」でしたね。先ず一通紹介させていただきます。

「今月から転職で連結会計ソフトウエアパッケージの会社に勤めています。前職が半導体の海外営業であったため、会計知識、業界知識もわずかで、仕事の進め方も全く違い、悪戦苦闘(問題だらけ)の毎日です。でもここでのチャレンジが遂行能力を身につけられるチャンスと思って取り組んでいます」(Aさん)。

Aさんはまた、この新しいチャレンジが「今後、ゼロから始める新入社員の指導にも役立つ」とも考えられておられます。そうですね、それがキャリアの成長ですね。

もう一通。「購買部門に移動して3週間。これまで36社と取引してきた名刺の印刷をコストダウンのため、今後は競争入札で1社に絞ることを説明することになりました。これまでの「共存共栄」から「効率」への転換という会社の方針で良いのかどうか…」(Nさん)。

Nさんは前回の「会社の状況は、実は自分の深層や価値観の現在の状態を見せてくれている」という視点をさっそく実行して、「自分の中の効率ばかり追い求める理想像の矛盾」を感じておられますね。

そこでもう一歩進んでみませんか。「競争入札に勝つ1社と落選する35社を自分の中の成功、失敗の体験の数として感じてみてください。そこから36社それぞれどんなプロセスを辿るでしょうか」。Nさんは「割り切らないビジネスモデルを実現できたら」と思っていますが、そこへ一歩進むビッグチャンスかもしれません。失敗からも学ぶことは多いものです

ところで私は先週、また新しい出会いがありました。ある人材開発のセミナーで米ジョージワシントン大学のマイケル J.マーコード教授の「アクション・ラーニング」の講演を聴いたことです。今回はこれを紹介したいと思います。

マーコード教授の定義する「アクションラーニング」というのは、小グループが現実に起きている問題に取り組み、行動し、その過程で学習することにより、個人の成長、チームワーク、リーダーシップ、組織開発が一貫して同時に変革していくというものです。

その手法はというと、「本当に聞くべきこと」を質問し合うことによって問題、課題を明確にし、新しい考え方の道を切り開き、創造的になっていくというシンプルなもので、まさしくコーチングの延長にあるものです。実際、「ラーニングコーチ」がグループの相互作用を促していきます。

質問の力が問題解決に繋がるだけでなく、学習機会を増やし、チーム力を高め、対話の基盤として機能しながら、変化と発展を生む感受性を育てていくというわけです。

さらに興味深いのは、この「アクションラーニング」の始まりは90年前、不沈船と言われたタイタニック号が沈んだ日ということです。「アクションラーニング」の創始者レグ・リーバンズ教授の父がタイタニック号の設計者に「この船が沈むことがあり得るか」と聞いた時、「氷山にあたれば」と思ったにもかかわらず口にしなかったといわれています。

何故口に出さなかったか。「馬鹿にされる」という恐れがかえって問題を大きくしたり、解決のチャンスを逃してしまうわけです。リーバンズ教授は「グループ内の問題は、思いがけない質問によって解決の糸口を見出す」ことに着目したわけです。

この1,2年、「アクションラーニング」はボーイング社、キャタピラー社など米国大手企業などで相次ぎ採用されているそうです。もしかしたら今後、日本企業でも広がるかもしれません。

ということで今週のエクササイズはアクションラーニング風に出してみました。

●「キャリア、あるいは仕事を通してあなたが達成したいことは何ですか? ゴール達成を阻んでいるものは何ですか?それに対しあなたは何が出来ま すか?」