第45回 セレンディピティをキャリアに生かす

こんにちは、楳林です。先週のエクササイズは「あなたという魂(スピリット)はこれから両親(お母さん)のお腹に入っていきます。さあ、どんなことを感じていますか?そして今、やり遂げたいと思っていることは何ですか?」でしたね。

「今まで他人のよい点を伸ばしてあげようとし、自分は他人の目ばかり気にし過ぎていたので、今度は自分を思いっきり表現すること。自分を表現するといっても自分でよくわかっていないのですが,自分をうまくプロデュースしたい」(Nさん、34歳)

Nさんは投資企業への不動産コンサルタントを辞めて、現在ブランドデザインの営業をしながら、「本当に自分の魂から好きな仕事を起業できたら」と模索中だそうです。何より自分のよい点を認めそれを伸ばす時です。

両親、家族に対する思いも何通かありました。「両親に感謝の気持ちを伝えたい」(Tさん、32歳)「両親を幸せにするのが私の努め」(Nさん、28歳)「家族の平和を願いたい」(Iさん)。その時、両親・家族が世界の全てでしょう。それがあなたの今の世界に対するミッションだとしたら、何を感じますか。

今回の問いは決して科学的に実証できるものではありませんが、一種の催眠法で自分の中にある潜在意識を探るヒントになると思います。ついでにもう1つ。チベット仏教によると「オギャーッ」と生まれた瞬間、全てを忘れるそうです。が、それを思い出すことが、一生の旅なのかもしれません。

ところで最近、ふと本屋で見つけた『偶然からモノを見つけ出す能力』(澤泉重一著)で取り上げている「セレンディピティ」という言葉が私の興味をひきつけました。創造性やキャリアとも深く関連すると思うので、今回は、これを紹介したいと思います。

セレンディピティというのは「当てにしていないものを偶然にうまく発見する能力」という言葉で、1754年に英国の文筆家、ホレース・ウォルポールが手紙の中で使った造語だそうです。分かりやすい例でいえば、「旅行で使うカメラを探していたら、旅行先の良いレストランを紹介した本が思いがけず見つかった」などはこの才能が作用しているというわけです。

もともとはセレンディップの国(今のスリランカ)の王様が、当時、3人の王子に、国を荒らしていたドラゴンを退治するための巻物を探すため修行の旅に出させたという寓話からきているそうです。肝心の巻物を発見することは出来なかったが、3人の王子はそれぞれ才能を発揮するようになったといいます。

「思いがけぬ古書の発見」、「結婚相手の発見」からカオス理論といった偉大な発明発見まで、実はこのセレンディピティが発揮された結果と言われるとますます興味が湧いてきます。セレンディピティの向上法はまず楽しむことだそうです。面白くなり興味が湧けば、日常生活、芸術、スポーツ、研究開発に応用できるとありました。そして興味が湧けば湧くほど「偶然」と「察知力」が組み合わさった「偶発力」という感性が磨かれるそうです。

これってキャリアにも当てはまりそうじゃないですか?。私もこれまで新聞記者、研究員、研修講師、キャリアカウンセラーなどの仕事を経験してきました。が、振り返ってみると、ちょっとした偶然の出来事や人との出会いから道が開けたり、チャンスが来たり。あるいは失敗したことにだって意味があったように思えます。

ということは、自分のビジョンや目標はしっかり持つと同時に、セレンディピティに対する感性(偶発力)をより研ぎ澄ましておくことで もっと偶然のチャンスを取り込むことが出きるのではないでしょうか?以前紹介したクランボルツ先生の「計画された偶然理論」(第15回)にも似ていますね。

セレンディピティの本の著者の澤泉さんは“偶然”とは「神からの贈り物」あるいは「神の罠」と言っていますが、偶然って本当に不思議ですよね!

ということで今週のエクササイズです。

●「当てにしていないものを偶然発見した、あなたのセレンディピティの体 験(キャリアに限定しません)を紹介してください」