第48回 バックキャスティング
こんにちは、楳林です。朝晩めっきり涼しくなりましたね。先週のエクササイズは「何度も聞くことになりますが、あなたが本当に好きなことは何ですか」でした。何通か紹介させていただきます。
「簡単そうで難しい。本当に好きなこと・・・。この間、美容院でシャンプーしてもらっている時、荒々しいコンクリート剥き出しの天井を見ていて、マンションの現場管理をしていた時のことを思い出し、私は現場にいるのが好きだったなーと強く思いました」(Iさん、30歳)。
私も昔は取材の現場、そして今は研修やワークショップの現場で、緊張とワクワク感の中での人との交流が好きです。Iさんは建築設計屋さんだそうですが、現場のどんなところが好きですか。具体的に教えてください。
次に似た回答を二通紹介させていただきます。「本当に好きなことがわからないのです。ただ中学の時は漠然と通訳になりたいと思っていましたし、ずっと英語を勉強したい、という思いがついてまわっていました。もう一回自分の気持ちに向き合って勉強を始めたいと思います」(Mさん、41歳)。
「13年勤めた大手銀行を辞めて、やりたいことを現実にするため転職活動中です。本当に好きなことは、実力も経験もないけど翻訳をやりたい。きれいごとではなくて、好きなことをやるために、もっと努力したいと思っています」(Oさん、33歳)。
御二人の回答を取り上げさせてもらったのは、是非、紹介したい人を思い出したからです。私の愛読書の一つである『ときどき思い出したい大事なこと』(著者はディック・ライダーさん)の翻訳者で、半年ぐらい前に自ら『朝二時起きで、何でもできる』を書かれた枝廣淳子さんという方です。
彼女は主婦で米国に生活した二年間で同時通訳と翻訳家への道を実現したばかりでなく、その後環境ジャーナリストとして活動されておられます(すごいですね!)。二時に起きる、というのは夜型の私にとっては無理な話ですが、それ以外の成功のための考え方、やり方が、私も研修プログラムで採用していて、とても共感できるものでした。
それは「バックキャスティング」という考え方です。これは、現状がどうか、どういう問題に直面しているかはひとまず置いて、「かなえたい究極の目標、理想の姿」を先ず描き、そこから現状を振り返り、「ではあそこに行くためには、何をすべきか」を考えるという方法です。現状でなく、「目的地」から「バック」に投げる(キャスト)のです。
具体的には、ステップ1「どんな自分になりたいかを思い描く」。全てうまくいったら、どうなっているか。この「究極の姿=ビジョンを描く」作業をビジョニングと呼ぶそうです。コツはできるだけまざまざと描く。どういう場所で、誰と、何を、どのようにしているか、どんな気持ちで、どんな服を着て、という具合にです。
ステップ2「自分の理想の一日を思い描く」。枝廣さんは夢に描いた同時通訳者になってしばらく満足していましたが、そのうち、「これでいいのかな?自分が本当にやりたいことはなんだろう?」と思ったそうです。そして「5年後、こんな風になっていたい」と思う理想の自分の一日なり一週間なりのスケジュールを具体的に書いてみることで、「通訳は英語を磨くいい方法だが、本当にやりたいことは環境問題の専門家」ということに気づき、それをスケジュール表に記入して実現させていったそうです。
また、枝廣さんは「目標」に対して、「計画」を立て、「行動」してみて結果を「チェック」、「もう一度行動」することを繰り返して目標に近づく「自己マネジメントシステム」もしっかりやっておられます。Mさん、Oさん、是非チャレンジしてみてはどうでしょうか。
ということで今週のエクササイズです。
●「あなたが抱える今の課題や問題から見えてきた、あなたの理想の姿を描 いてみてください。できるだけ冒険して一日のスケジュールを具体的に 描いてみてください」
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