第49回 フライフィッシング

こんにちは、楳林です。先週のエクササイズは「あなたが抱える今の課題や問題から見えてきた、あなたの理想の姿を描いてみてください。できるだけ冒険して一日のスケジュールを具体的に描いてみてください」でしたね。先ず一通紹介させていただきます。

「朝7時起床。好きな音楽を聞きながら朝食の準備。ダンナと今日のお互いのスケジュールを話しながら朝食。今日はパーソナルカラーやカラーセラピーのセッションを受けに女性クライアント4人が来る予定。お花を活けたり、中国茶を用意する。夕食後、一時間は電話でカウンセリング。その後はダンナと一杯やりながらビデオ鑑賞」(Yさん)。

Yさんは現在、企業で一般事務をしながらカラーセラピーなどのプロを目指し勉強中だそうです。3年後は海のそばでオフイス兼用の一戸建てに住み、「月に1,2回はダンナと娘と一緒に海岸に行って貝殻やガラスの破片、流木を集め、『海からの贈り物』と題してワークショップをしたいです」。イメージが伝わってきますね!

さて、前回、バックキャスティングについて話しましたが、これに関連してとても参考になるコメントがありましたので紹介します。

「バックキャスティング(Back casting)という言葉ですが、これは私の趣味のフライフィッシング(Fly fishing)の用語ではないかと思いました。フライ(毛鉤)を魚のいるポイントに投げ入れるために、竿を前に振る動作をフォワードキャスト(Forward cast)と呼び、その前に竿を後ろに振り力をためる動作をバックキャストと呼びます。フライフィッシングのキャスティングでは、バックキャストでキャスティングが決まるといっていいくらい重要な動作で、今回の話しにピッタリ当てはまるなと思ったわけです」(Nさん、35歳、電機メーカー勤務)。

このコメントを見て私も我が意を得たという感じです。後と前というのは、まさにその人の仕事を通じての人生体験の過去と未来ですね。未来という視点を持って現在、過去の体験をしっかり受けとめつつ、しかも軽やかにまた未来に向け直感的に選択する。それが私なりのキャリアコーチングの目指すところとピッタリ重なるからです。

Nさんはさらに「ちなみに最後のフィニッシュとなるフォワードキャストの前にバックキャストとフォワードキャストを何回か繰り返して方向と距離を調整することをフォルスキャスト(False cast)と呼ぶのですが、最終的な職業に就く前に何回かの誤り(Falce)も必要ということも含まれているのかもしれませんね」とも語っておられます。

これも素晴らしい指摘です。今の仕事であろうと転職しようと、自問自答の繰り返しや、失敗の体験も、やりたいことを明確にしていくプロセスとして大切なことだと思うのです。そして、それが本当の意味でキャリアを形成していくのではないでしょうか。Nさん、素晴らしいコメントをありがとうございました。

ところで、フライフィッシングといえば数年前に観たロバート・レッドフォード監督の「リバー・ランズ・スルー・イット」という映画の場面を思い出します。「全てが1つに溶け合った、その中を川が流れる」という意味だと思いますが、モンタナ州の山間の渓流でのフライフィッシングの美しい場面は今でも目に浮かびます。

牧師の父と母の元で成長する2人の息子の話です。長男は故郷を離れて文学の大学教授になり、次男は新聞記者になる。その成長の過程で、父と子、あるいは兄弟間の葛藤があっても、フライフィッシングをする時は、お互いの繋がりを取り戻します。

自然の美しさもさることながら、天職意識を持って牧師を勤める父が、2人の息子が選んだそれぞれの職業をまた天職として静かに受け入れていく姿は、心に残るシーンでした。

私の父はもう10年前に亡くなりましたが、父の性格や生き方、仕事に反発し、全く違う職業を選んだのですが、最近とみに自分のキャリア形成が父の影響抜きには有り得ないことを痛感しています。

そこで今週のエクササイズです。

●「(たとえ好きであろうと反発していようと)あなたは父親の資質や強み・ 弱みのどんなところが似ていますか。思いつくことを是非教えて下さい」