第50回 あなたのプロジェクトY
こんにちは、楳林です。先週のエクササイズは「(たとえ好きであろうと反発していようと)、あなたは父親の資質や強み・弱みのどんなところが似ていますか」でしたね。
何故このテーマを取り上げたかというと、よく深層心理では父親との関係がその人の仕事に影響するといわれているからです。また女性にとっては異性の父親との関係は男性関係にも影響するようです。嫌っている父親と同型タイプを好きになったり、逆に好きで癒着していると、恋人が出来にくかったりしますね。
先ず1通紹介します。「『対外的には愛想がよくサービス精神旺盛』『ややこしい話や深刻な話は避けがち』『本質的には真面目』『楽天的で前向き』『趣味は二の次、仕事で手一杯』『風邪をひきやすい体質』」(Yさん、27歳、制作会社編集)。
Yさんは小さい時から家では無口なお父さんを見て、「会社へ行くのが楽しいのだろうか?」と思いながら成長し、「将来会社勤めはしたくないな」と新卒で美術学芸員になったそうです。その後結婚して転職、現在は小さな制作会社で編集の仕事をし、「仕事に忙殺される日常」の中で、「彼なりにいつも精一杯だったのでは」と理解し始めると共に「お互いもっと人生を幅広く楽しむ」必要性を感じておられます。
私は企業の50歳代のキャリアデザイン研修をする機会が多いのですが、実は大手企業の管理職クラスの方で、Yさんのお父さんのような方が結構多いのです(一般化してYさんに申し訳ありません)。
その背景には、管理職という単線的なキャリア形成が大きな要因となって、大半の企業で「失敗できない」「減点主義」「どうせ言っても無駄」「出る杭は打たれる」といった企業風土を醸成してきたことがあげられます。そしてビジョンという燃えるような想いが眠ってしまうと、「風邪をひきやすくなる」というわけです。
ところでこのキャリアコーチングも今回で50回目を迎えました。正月休みがあったのでほぼ1年です。皆さんの回答を振り返って一番思うことは、「将来、本当にやりたいことがわからない」つまり自分のキャリアビジョンが見えない中、現実でもがいておられる方が多いということです。
それはやむをえないと思うのです。これまでの教育はほとんど「現状の問題点を明らかにして対策を打つ」か「現状をベースに改善する」か、どちらかのアプローチだったからです。「勉強しろよ」「努力さえすれば」「頑張れよ」「プロになろう」・…。それが急にビジョンといわれても困りますよね。
何より将来から発想するビジョン指向や課題創造型のアプローチは、高度成長、年功制の企業社会では必要なかったと言えます。あなたの両親も、そして両親の生き方を批判するあなた自身も知らなかったわけです。
ずっと昔、天動説から地動説に変わったコペルニクス的転換、それはパラダイム(思考枠組)の転換ですが、ビジョンからの発想というのはそれ以上の転換なのです。何故なら今は“天も動くし地も動くパラダイム”に変わろうとしているからです(笑い)。
そこでです。私に浮かんできたアイデアは、毎回回答してくれる人、読んでいるだけの人を問わず、意欲のある人は是非、「これからの1年、つまり百回目までに個々人、1つのプロジェクトに取り組んで欲しい」という提案です。
それは自分の強みと思う資質、能力、得意なスキル(漠然と思うものでもいいのです)、好きなことを使って(育てながら)、この1年で実現したいことを1つ選択し実現するというプロジェクトYです。転職、職場内の改善、絵を描く、小説を書く、新製品の開発、海外留学、資格を取る・・・・。もちろん、自分のキャリアビジョンにつながればベストですが、思いつきでも結構です。
プロジェクトYはNHKのプロジェクトXを意識して、マグレガーのY理論(X理論は人間は本来悪とみるのに対し、Y理論は性善説と言っていいでしょう)に引っかけています。
その実現したいことを仮のビジョンとして、そこから現実をにらみながら、新たな課題を作り、それに取り組んで欲しいのです。そこでの気づきや障害、戦略にフォーカスした回答ですと嬉しいですね。
最近参加したある会合で感銘を受けた言葉があなたをサポートしてくれるかもしれません。「人が持つ本質的な能力とは、私に何かができると想い続けること」(ジョン・レノン)。
ということで今週のエクササイズです。
●「これから1年間、あなたは自分の強み、得意なこと、好きなことを生か して、実現したいプロジェクトYは何ですか」
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