第57回 欠点を伸ばすって?
こんにちは、楳林です。やっと喉風邪がピークを越えました。先週のエクササイズは「ありのままの自分ってどんな自分ですか」でしたね。先ず「自分は怠け者」と思っている人の多いことに驚きました。
「怠け者。でも好奇心は旺盛。好きなことはやるが、嫌いなことはやらない。人より優秀でいたい。自分が好き。勉強好き。向上心がある。楽しいことが好き。わがまま。いい人と思われたい。でも嫌いな人にはつらくあたる。つまるところ好き嫌いの激しいのが自分です」(Tさん、38歳)。
「怠け者である。人から期待されたり、よく思われようとすることがモチベーションになる。地味な仕事は嫌い。かといって目立つ仕事で準備が大変な仕事は嫌い」(Nさん、某外資系人事職)。
「本当は怠け者。でも仕事で暇なのは耐え難い。だから働き者かも。勉強も嫌い。でも向上心は強いです。資格取得や英語の勉強をしています。じゃあ勉強好き?多分、面倒なことは嫌いなワーカーホリックで、人生を楽しむ術をいつも探している、落ち着きのない人間」(Kさん、32歳)。
これ位にしておきましょう。複雑というか、矛盾・ジレンマというか、もがいているというか、諦めているというか・・・紹介しながら私も思わず笑ってしまいました。それが今のありのままの現状なんでしょうね。
「怠け者」とか「嫌い」という感情に対し、罪悪感とか失敗感が浮上すると、今度はそれに対する補償行為として頑張ったり、やさしくしてあげたり、というのが心理学的な分析ですね。でもそれを繰り返して中年になると、「努力が人生観」と思ったり、何が好きで、何が嫌いか自分でも感じれなくなったり、そうなると重症です。
そうならないためには、自分の中の「怠け者」とか「嫌い」という感情をもう少し違った視点で見直すことが必要かもしれません。「嫌い」というのも実は「好き」な価値観が抑圧されて潜んでいると言いますから。
先日、テレビで動物の「ナマケモノ」を見ました。木々の間や水面を本当にゆっくり進んで行きます。ほかの動物に比べたらとても鈍くても、「ナマケモノ」にとってはそれが自然なんです。あなたの「怠け者」も、もしかしたらあなたの自然さかもしれません。そう思ったら、多少自分が可愛く見えるようになるかもしれませんね。
ところで先週、京都で研修中、京都新聞に掲載されていた「欠点を伸ばす」という電気通信大学の中島義道教授の書かれた記事に共感するところが多かったので紹介したいと思います。
キャリア開発ではよく、「欠点を直すより長所を伸ばしたほうが効率的」というポジティブな考え方が一般的ですね。これに対し、中島さんは「すべての人に当てはまるものではないが、ある種の人は一生を賭けて、『自らの欠点』を伸ばすべきだ」という考え方を出されています。
「人は誰でも、それさえなければ、どんなに生きていくのがラクかと思うような致命的な欠点がある」と言う中島さん自身は「偏食、スポーツ音痴、死への怯え、他人に対する羨望、軽蔑、非協調性、そして虚栄心、病的なナルシスト、冷酷さ、ネガティブ思考などまるで生きることへの『適正』がない」自分のありのままの姿に小さいときから苦しみ、変えようとしても変えられず、自殺しようと思ったこともあるそうです。
しかし50歳を過ぎるころから「こうした自分の欠点のすべてが、自分が哲学をする際、物を書く際に大いなる宝になった」として、「人を信頼し、人に信頼されて生きる幸せな人生」も良いものだが、「欠点を伸ばし、欠点を通して自分の生きる糧(仕事)を見出す」のも「重い人生だが、それもまた、疑いもなく輝かしい豊かな人生なのだ」と述べています。
そこまで徹すると大変ですが、自分の欠点を否定的に見て直そうとするだけでなく、欠点そのものに真正面から向き合うことによって、隠れた才能の発見や自分のキャリア、人生をさらに深めることも可能のように思えました。
ということで今週のエクササイズです。
●「あなたのキャリアを深めるのに役立っていると思える欠点があったら紹 介してください」
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