第70回 世代別のトランジション
こんにちは、楳林です。このところキャリア&ライフデザインの研修が相次ぎ、研修所生活が増えています。
さて、先週のエクササイズは「あなたが体験中(した)のトランジションを振り返った時、その体験を自分で用意したと思うことはありませんか」でしたね。1通紹介します。
「1年前に県地域づくりコーディネーターの職に就き、NPO団体の理事として活動を始めました。でも8月くらいから仕事が手につかなくなり、出勤拒否になり、訳もなく涙が溢れたり、の状態が続き、11月末に退職しました。しかし、今振り返ってみると、あの苦しさは、周りの価値観などに合っていない自分から来ていたのだと気づいたのはとても大きいです」(T さん、32歳)。
Tさんはさらに、「実は昨年6月、『人生に関わりたい』という気づきと『そこにいる理由がボロッと落ちちゃった』感じがあり、その後しばらく何気なくいたのですが、あのときにその後のボロボロ体験も決まっていたのかもしれません」と語っています。
そうです!人は子供の時から一瞬に選択します。でも次の日からケロッと忘れますが,一度選択したことは着実に進みます。その選択したときの思いがどうも自分のミッションとかヴィジョンに近い感覚なのです。なぜ忘れるかというと「そんな大それたことをしてもまた痛い目にあうから、やめとけよ!」というエゴの声にかき消されるからです。
Tさんは退職後、キャリアカウンセリングとコーチングの勉強を始め、今年1月、学生対象の「価値観に気づき、現実社会を乗り越える視点転換の練習」のようなワークショップを企画・実施したそうです。「収入を除いては、今とても充実し、生き生きしています」と言うTさん、本当の「始まり」が近づいている感じですね。
今回はTさん以外にもとても深みのある回答が幾つかあり、皆さんに是非、紹介したかったのですが、紙面の都合で別の機会にさせてもらいます。残念ですが・・・。
ところで今回のトランジション(過渡期・転換期)はレビンソンの発達段階から見た4つの「過渡期」という視点を紹介したいと思います。
第1段階は主として20代前半、社会に出る前後の過渡期です。学生から社会人になる中で「一体、自分は誰か」という問いに直面しながら、劣等感とか、無力感、離人感に悩まされるそうです。私の場合も孤立感に陥ったり、人と話すのがとても苦痛だったものです。
第2段階は30歳前後。結婚とか、会社の役割といった責任感や制約条件が増える中で、自分の可能性が狭まるような感じとか焦燥感を感じるときです。私自身は結婚前は周期的に転職願望が出ていましたが、結婚した途端、そういった焦りがしばらくは影を潜め、仕事に結構燃えた時期でした。
でも最近の30歳前後の独身の方に接してみると、第1、第2段階が重なって押し寄せている感じがします。
第3段階は40才前後。レビンソンは「この時期が最も大きく、本当の自分らしさの模索・葛藤を通じて、真の自己へ統合へ向かう段階」と位置づけています。よく中年の危機と言いますが、今まで未完了にしていた仕事、家庭の両面でのギャップ、歪みが一気に浮上します。すでに紹介しましたが、私は第2段階が未消化だった分、この段階が一番大変でした。
第4段階がリタイヤ前後です。定年を無事迎えたとしても社会での役割を喪失し、孤立感や引きこもりに悩まされ、新たな生きがいを見い出さないと心身ともにあっという間に老います。50代でリストラに遭遇した人の中には、それまでの人生がまあまあ順調だった人ほどあらゆる課題が重なって危機的状況に陥る人も少なくありません。
かなり教科書的な紹介になってしまいましたが、世代的なトランジションがあり、誰もが直面する課題があるということを理解しておくことが大切だと思うからです。理論はあくまで仮説に過ぎませんが、その理論との比較で自分の体験をチェックすることによって、今たとえきつい体験や混乱の中にある方でも、その意味やメッセージがわかればよりスムーズに超えていけると思います。
ということで今週のエクササイズです。
●「レビンソンの視点から見直した時、気づいた事はありましたか?」
![転職、派遣、アルバイトまで!求人メルマガ [en]キャリアニュース](http://columnjob.en-careernews.com/images/en_logo.gif)
