第74回 自己概念の重要性

こんにちは、楳林です。日増しに春らしく暖かくなっていますね。さて、先週のエクササイズは「今の仕事、職種で本当に大切にしたい、あなたの強みは何ですか」でしたね。1通紹介させていただきます。

「自分の強みを正直、見つけることが出来ません。情報処理関係ですので技術的なことでは、どんどん新しい技術を持った若い人が入ってきますし、プロジェクトリーダーとしては経験が皆無です。逆に強みをつけるために、奮闘しなければならないことはたくさんありますが・・・。強いてあげるなら、外注(派遣に近い)としてずっとやってきたのでどこにいっても開発などは、一通り出来る自信はあるので、これを大切にしてさらに技術力などを強めて生きたいと思っています」(Sさん、35歳)。

派遣ですと、どうしても顧客からの注文やニーズが優先するので、それに追われて大変だと思います。ちなみに、私の部門でも標準型のキャリアデザイン・プログラムがあります。が、導入に際しては、顧客のニーズに合うようその都度、大幅に手直します。だから、その過程で時代の流れや次のニーズ、シーズを感じることが出来ます。

Sさんもきっと今の仕事の中から今後重要と思われる技術やスキルに気づかれていると思います。そうした気づきを活かしながら、「今後1~3年後、自分はどうありたいか」というキャリアパスを描いた上で、先ず何をやるかを考えてみてはどうでしょうか?

ところで、先週末は、日本キャリア開発協会主催の「キャリアカウンセリング・フォーラム」に参加しました。その中で特に私にとって収穫になったのは、NCDA(全米キャリア開発協会会長)のスペンサー・ナイルズ博士(ペンシルバニア州立大学教授)の講演とワークショップを体験できたことでした。

ナイルズ博士は、主に、キャリアカウンセリングの分野で最も有名なドナルド・スーパー博士(故人)の理論を軸にして、キャリアカウンセリングの現状の課題や将来のビジョン、そして、最新の手法を指導してくれました。ですので、今日は、「自分が何をやっていいのかわからない」とか「キャリアの意思決定や選択が出来ない」と悩んでいる方に参考になると思ったことを簡単に紹介します。

それは、自己概念の重要性とキャリアの意思決定・選択の関係についてです。

自己概念というのは「自分自身のことをどのように受け止め、どのように思っているか」ということ、つまり「自分が何者であるか」「どういう存在であるか」という自己イメージと言ってもいいでしょう。

もう少し具体的に言うと「何が好きで、何が嫌いか」「どんなことが楽しいと感じる人間か」といった価値観にもつながってきます。

この自己概念は人生の成長段階(ライフステージ)や人生でのいろんな役割(ライフロール)を経て、自己概念の形成、発展と受容、探索と現実での吟味を繰り返していきます。そして、自己概念の実現(職業的自己概念)へと順次発展していくのです。その過程で人生目標や人生ストーリーも形成されていきます。

自己概念には肯定的なものだけでなく、否定的なもの(例えば自分は引っ込み思案である)もあります。だから、職業選択の障害や職業生活への不適応要因にもなります。また、自己概念は「どんな職業・職務が合っている」という客観的な要素以外に「その仕事に見出す意味は何か」という主観的な要素もあります。そして、それが自己概念の成長、発展する鍵になるわけです。

ですから、自分のキャリア上の意思決定や選択するということは、自己概念や価値観、そして自分の人生ストーリーに対する自己理解をキャリアの枠組みに置き換えようとする試みであるわけです。

つまり「何をしたらいいか」とか悔いのないキャリア選択をするには日頃から自己概念をしっかり理解しておくことなんです。

ということで、今週のエクササイズはワークショップでの課題を1つ紹介します。上で話したテーマが凝縮された良いエクササイズですよ。

●「あなたの人生ストーリーを本にしたらどんなタイトルにしますか」