第77回 キャリア転換の新アプローチ

こんにちは、楳林です。週末は夫婦で姪の結婚式に出席しました。お相手は大学のサークル仲間ということで仲人も立てず、友達感覚の楽しい結婚式でした。さて先週のエクササイズは「あなたが描いた人生ストーリーを実現するために、あなたがやるべきことを3つ挙げてください」でしたね。先ず1通紹介します。

「“成功に向かって”という人生ストーリーを実現するため、“何か書き出してみる”“目標に向かっていける自分になるように行動する癖をつける”“落ち込まない手立てを見つけられるようにする”の3つです」(Sさん、34歳)。

Sさんは現在、求職中だそうですが、先ず「再就職に成功する」するために、この3つを実行する良いチャンスですね。

もう1通。「“Take it easy”を実現するため、[1]体力をつける[2]技術を研く[3]プラス思考を心がける」というFさん(30歳)。プロフェッショナルとしての司会者の道を着実に歩み始めているのを感じます。

一歩進めて質問です。「体力をつけるために、では、先ず具体的に何をやりますか?」。回答を寄せなかった方もご自分で3つのやるべきことを考えられた方は、3つのそれぞれについて、具体策を1つは見つけてみてはどうでしょうか。

ところで、先週、私はハーミニア・イバーラというINSEAD(欧州経営大学院)の教授がハーバード・ビジネス・レビューに書いた「計画しても『第2のキャリア』は成功しない」という興味深い論文に出会い、とても刺激を受けました。人生ストーリーを書き換えるというテーマとも関連するので紹介したいと思います。

簡単に要約すると、新たな働きがいを求めて、それまで培ってきた職種や職場を大きく変化させてキャリア転換しようとする人がこの10年増えてきているが、その場合、「自己分析し、計画して実行する」という従来型の計画・実行型のアプローチでは失敗するケースが多い。真に自分にあった新しい道を探すには「試行して学習する」というアプローチが必要である、というものです。

その中核のテーマとしてアイデンティティの問題を挙げています。これまでのキャリア転換のベースは『本当の自分』というアイデンティティを発掘し、あとは自分に合ったキャリアを探すというものですね。

しかしイバーラ先生は「私たちはさまざまな自己(イメージ)がある」ことを前提に、アイデンティティを再構築するということは、さまざまな自己を試行錯誤し、学習するという過程を経ることが必要だ、と言っています。「二歩進んでは一歩下がるというような、長く、紆余曲折を経て、自分が本当に変えたいことは何かを理解し、自分を縛り付けている習慣や思い込みを明らかにしながら見出していく」こと、それがキャリア転換のプロセスだというわけです。

つまりキャリア転換というのは新しいアイデンティティを再構築することであり、それはまさに、人生ストーリーを変えることにつながることなのです。

では、この「試行・学習型アプローチ」はキャリア転換を成功させるためにどうするか、というと次の3つの原則を紹介しています。

1つ目は実地に試す機会を探すこと。自分が本当に何をしたいかを知るには、本職を続けながら、週末や長期休暇を利用して活動したり、資格を取ったりしながら、新しいワーキング・アイデンティティを築くことだそうです。

2つ目は新しい人と出会うことによって、新しい自己の発見と新しい仕事のアイデア、ヒントを得る、ということです。

そして3つ目は「意味を与える」。これはちょっと難しいのですが、キャリア転換に成功した人の多くは「これが私のやるべきこと」と感じるような一種のひらめきの瞬間があり、変化のきっかけになるというものです。

私自身,40代にかなり大きなキャリア転換を図る中で、以上の3つの原則を強く感じた経験があったので、余計興味深く読んだのかもしれません。

ということで今週のエクササイズです。

●「3つの原則のどれかを実際に体験したり試したりしていたら、ぜひ紹介してください」