第86回 キャリアとシステム思考
こんにちは、楳林です。暑くなるかと思うと、また一転、じめじめしたりの天気が続いていますが、皆さんいかがですか。先週のエクササイズは「今の仕事に直接関係のないことでも、何か興味を持って取り組みたいと思えることは何ですか」でしたね。
なぜこれを取り上げたかというと、「本当にやりたいことがわからない」とか、「今の仕事では燃えない」といった状態のときには、何か自分の興味のあることに取り組みながら、そのときの生き生き感や楽しさの感じを思い出してもらいたいのと、もしかしたら、キャリアの次のステップのきっかけになるのではと思ったからです。
先ず1通紹介します。「ダンスを職業としている恋人の誘いに乗って、ジャズダンスをやってみることにしました。今までまったくやったことがなく、彼女の仕事の領域に踏み込むのはどうかと思ったりしたのですが、『とりあえずやってみる』の精神を大切に、今年の12月に発表会があるので、それに1曲参加する予定です」(Oさん、メーカー営業、23歳)。
発表会で彼女と踊っている自分を想像してみてください。何を感じますか?そして、今までの自分がどんな風に変わりますか?
実は私の甥っ子は、大学受験の浪人中にヒップホップに夢中になり、とうとう大学入学を辞めてヒップホップのインストラクターになってしまい、同時に整体の学校に通い始めました。好きなことが仕事につながるのもいいですね。
もう1通。「興味を持って取り組みたいことが2つあります。1つは女性学、ジェンダー学の勉強です。男と女の不公平感、そうなった背景などを詳しく勉強したいと思っています。もう1つの興味は森林です。大木や古い樹を見たり山林を歩くのがとても好きです。」(Kさん、SE、41歳)。
Kさんは、「どちらもこれまで本や講演、セミナーなどで趣味程度はかじっていたのですが、今後本格的に勉強したいと考えているものの、一方では勉強した後、それをした後どう生かすか、ということを考えると仕事の忙しさにかまけて二の足を踏んでいます」と語っておられます。
ちょっと感じてみませんか。この2つをしっかり勉強しているときの自分の姿を。その時自分がどのように変わっていくと思いますか。そして変わった自分を通して自分の仕事やキャリアを振り返ったとき、どんな風に見えますか。
今の仕事に直接関係していないことであっても、ある意味で“人間と自然”についての考えを深める格好のテーマのように思います。将来、自分が「本当にやりたいことやキャリア」を考えていったとき、何か自分の考えの土台になるような気がしませんか。
ところで私も学生時代にワンダーフォーゲル活動をしたこともあり、山や自然にとても興味があります。社会人になって地方で仕事をしていたときに、山がまるで生き物のように感じたり、富士山山麓の植林の森が実は鳥や動物も住まない“死の森”であることにショックを受けたりした体験が今も強く印象として残っています。
今、システム思考に強い関心を持っており、管理職研修などで紹介しています。この考え方はラーニング・オルガニゼーション(学習する組織)の重要な要素で、簡単に言うと出来事を全体的にかつ相互依存や複雑性の視点を持って見ていきます。そして出来事を現象やパターンを掴みながら、さらにその原因となっている構造をシステムとして捉え対策を打つことといっていいでしょう。
でも私にはちょうど森の生態系システムのように思えるのです。「木を見ながら(育てながら)、森を見る(育てる)」といった感じです。しかも最近はライフキャリアもこのシステム思考がピッタリという気がしています。一人一人に「本当にやりたい仕事」の構造(生き方かな?)があり、そこに手を打つ必要がある、という考え方なんです。
ですから山や自然に対する私の興味が、気がついてみると自分のキャリアに対する考え方の土台につながっているような気がするのです。人のキャリア相談をすることは、私にとってはワクワクすることなんです。「隠れているこの人の本当の才能や夢はなんだろうか?」って思うからです。
ということで今週のエクササイズです。
●「あなたの興味と仕事との間に繋がりや共通点があるとしたら何ですか?」
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