第95回 小さな主題から大きな主題へ

こんにちは、楳林です。急に蒸し暑い日が続いていますね。先週のエクササイズは「今現在、あなたの人生の意義は何ですか」でしたね。ちょっとテーマが大き過ぎたようですね。先ず1つ紹介いたします。

「パートナーと二人で幸せになるために、楽しい努力をします」(Fさん、30歳)。

「実は先日、会社からいきなり解雇されることになりました。大きなミスをした覚えもなく、理由も告げられないままの解雇です。考えられるのは、夏期休暇のない会社なので有給を使ってお盆にUターンをし、空港でテレビインタビューを受け、それを見た社長が怒っていたそうです」。そんな会社もあるんですね。

「最初は驚きとショックが大きかった」Fさんですが、「色々ありますが、結婚して、自分のステージが上がったのかな、ここら辺がよい潮時かな」と、割と早い段階で気持ちを切り替えたようです。「次は、雰囲気の落ち着いた、きちんとした会社に勤めるか、自分のやりたい方向性にあっている会社をゆっくり選びたい」そうです。

そんな中でのエクササイズの回答でしたが、「楽しい努力」というのがとても印象に残りました。

ところで、今回はコーチングでいう「小さな主題から大きな主題へ」ということについて、触れてみたいと思います。コーチングでは毎回、今抱えている日常的な課題や出来事から入るわけですが、いろいろ聴いているうちに、突然、その日常的な出来事の背後というか奥の方から、その人の本質であったり、ビジョンのようなものが現れてくることがあります。

とてもワクワクする瞬間なのです。その世界に入った途端、クライアントが突然輝きだしてきます。まるで別人の様にです。そしてその感覚を持って最初の主題や課題を見たとき、もうほとんど解決したも同然になってしまうわけです。

先日もこんな例がありました。私のクライアントのYさんは、最近地域の店長から本店にセールスコーチとして移ったのですが、「何か意欲がわかず空虚感がある」というのです。いろいろ聞いてみると、「店長時代は問題も多かったけれど、一緒にやっているという密な人間関係があったのに、本店では人間関係だけでなく全てが淡々としていて、違和感や寂しい感じがする」というのです。

「では店長時代はそういう違和感はなかったんですか」と聞くと、「そういえば、店長のときは、とにかくがむしゃらにやっていただけかもしれない。本当はこの組織に同化できない違和感のようなものが、以前からずっとあるような気がする」と語り始めました。

その時私にはYさんが背中を丸くしてかがんでいる姿が浮かびました。突然、直感で「いつものYさんはまるで竹のように凛としているのに」という言葉が出ました。「竹ね…。そういえば、竹の中は空洞なのよね」。何かがYさんの心に触れたようです。明らかに伝わるエネルギーも変わってきました。

「空虚感や寂しいと思っていたんだけれど、私が竹なら、内側にそれがあってもいいんですね。それに竹は天に一直線に伸びている。何だか忘れていたことを思い出したような感じがします」。私もYさんの存在意義のような世界に触れて、内心びっくりしたわけです。

見る見る元気になったYさん。「明日から職場でも自分は竹のような存在であることを忘れないでいれば、余裕を持って楽しく働けそうな気がします」

ふっと出てきた直感を抑えず、言ってみることで、その人の奥に潜んでいたとんでもない“宝物”を発掘するきっかけになるわけです。それもどちらかというとその人特有の日常の課題や悩みの背後にこそ、最大のギフトが潜んでいるような気が改めてしたのです。

ということで今週のエクササイズです。

●「日ごろあなたが悩んでいる課題や問題がなかったら、あなたは何をしたいですか?
(のんびり休みたい、ではダメですよ)」