第98回 悔しさを表現する
こんにちは、楳林です。まだまだ湿気の多い暑さが続いていますが、朝、夕は気持ちよい風にホッとしています。先週のエクササイズは「あなたが、自ら仕掛け、早く決断出来た(現在しつつある)人生やキャリアの選択があったら紹介してください」でしたね。先ず1通紹介します。
「2年前の転職でしょう。東京で情報処理の仕事をしていましたが、会社や自らの先行きに不安を感じて転職活動を始めました。職務的にSEと営業の中間のような立場でしたが、『印刷業ならそういった人材がこれから必要だよ』という先輩の言葉がヒントになって、地縁、血縁の全くない場所の今の会社に巡りあいました」(Kさん、37歳)。
Kさんは自分のことを「動き出すまでには時間がかかるが、動き出すと止まらない“慣性の大きい”タイプ」と分析しています。また転職の決断は「妻の理解と応援があったこと、それと会社の決断が早く、いつでも来てくれといってもらえたこと」が大きかったそうです。
しかし、「3年目を迎えて、また1つの岐路に立っているような気がします」というKさん。今度は転職といった外側にではなく、「マネジメントするという能力に関して、自分自身を脱皮させる」という内側のキャリアの決断、選択に直面しているようですね。
何か「今の場所、仕事に100%コミットしますか」という問いに対して、自分の慣性がギリギリまで来た時、本当に決断できる人のように感じました。
「些細なことかもしれませんが、一人暮らしのアパートの選択です。今年の初め頃から、なんとなく探していましたが、いまいち自分の希望に合うアパートが見つからず、妥協してしまおうかな、などと決めかねていました。それが最近、建設中のアパートを見て『ここに入りたい!』。本当に即決でした。なかなか納得のいくアパートと出会わなかった意味も、自分なりにわかりました」(Mさん、36歳)。
ジーッと見守りながらも、いざとなると瞬時に決断、実行するMさん。もしかしたら、Mさんにとって、アパート探しだけでなく、仕事やパートナーを選択していくのにもこの能力を発揮できるように思えました。
今回のエクササイズは、一言で言うと「反応できる」ということですね。特に自分に対するリーダーシップの重要な要素だと思います。そのチャンスを掴むかどうか、一瞬で決まるときも、その前には1種の“タメ”が大切なんですね。
ところで、この連休中の夜は大阪で行われていた世界柔道選手権のTV放送に釘付けになっていました。一番感動したのは男子60キロ級の野村忠宏選手が前回王者を圧倒しながら残り30秒で抑え込まれて逆転負けを喫し、悔しさで声を上げて泣いているシーンでした。
どちらかというと天才肌。アトランタ、シドニーの両五輪で優勝した後、一度は目標を失ったかのように現役から遠ざかって米国に語学留学。恵まれたキャリア人生を歩み始めているようでしたが、まるで「もう一度燃える生きかたを見つけたい」とばかりに、昨年秋に復帰し、苦闘しながら今回の代表の座を得たわけです。
負けた試合ではポイントでは断然優勢だった野村選手。後半、押されているなと思っていたら、まさかの抑え込み負け。「競り合いで体力を消耗し、ばててしまった」そうです。でも、涙を流して悔しがっている姿には、もう一度しっかりと目標を見い出した姿を感じて感動しました。
前に「キャリアには成功も失敗もない」と書いたことがあります。但し、失敗の経験はそれをしっかり感じ切ってこそ、新たな挑戦が可能になるのだと思います。野村選手はそれを見せてくれたような気がしたのです。
ということで今週のエクササイズです。
●「あなたにとって最も悔しかったキャリア上の体験は何ですか」
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